マッスルスラックとは?

札幌パーソナルジムB Conditioning(ビーコンディショニング)の谷口です。
パーソナルトレーナーをしたり、パーソナルジムを経営したり、ビーコンオンラインサロンの運営などをしております。
今回は、マッスルスラックとは?を題材に情報を共有したいと思います。

「ヌメーっと力がつながる動き」を考える
先日、あるトレーナーがモーグル選手をトレーニングしているところを見る機会がありました。
スクワットとデッドリフトの動きを見ていて、個人的にとても印象に残ったのが
「ボトムから切り返して、ヌメーっと上がってくる」
という感覚でした
もちろん「ヌメーっと」というのは完全に感覚的な表現です。
ボトムから力を出す局面にかけて、うまく力が伝わっていない印象を受けました
そこで思い出したのが、 Muscle Slack(マッスルスラック) という考え方です。
今回は、このMuscle Slackについて整理してみたいと思います。

  1. Muscle Slackとは?
  2. 「最大筋力」と「素早く力を出す」は同じではない
  3. では、最初の「ヌメーっとした動き」は何なのか?
  4. トレーナーとして大切なのは「何kg」だけではない

1 Muscle Slackとは?

Slackには「たるみ」「ゆるみ」「遊び」といった意味があります。
筋肉の話では、筋腱複合体などに存在する「力が実際の外部への力発揮につながるまでの遊び」のようなものを考える際に使われます。
イメージしやすいのが「ロープ」です
「引っ張り始める」
     ↓
「ロープのたるみがなくなる」
     ↓
「張力が伝わる」
    ↓
「相手が動く」

という順番になります。
筋肉でも単純に、 筋肉が収縮した=瞬間的に大きな力が外部へ伝わる とは限りません。
筋腱複合体の状態や筋の長さ、腱の特性、神経系による筋活動など、さまざまな要素を介して実際の力発揮につながります。
そしてスポーツでは、この「力が立ち上がるまでの時間」が非常に重要になります。

2 「最大筋力」と「素早く力を出す」は同じではない

ここが、Muscle Slackを考えるうえで重要なポイントです。
例えばスクワットで100kgを持ち上げられる人がいたとしても
「100kgを持ち上げられる能力」

「0.1秒、0.2秒という短時間で必要な力を発揮できる能力」
は同じではありません。
スポーツ動作では、地面に足を着いてから次の動作に移るまで、非常に短い時間しかないことがあります。
そのため重要になるのが
Rate of Force Development(RFD) つまり「力の立ち上がり速度」です。

つまり 「どれだけ強いか」だけではなく「どれだけ速く力を立ち上げられるか」 を見る必要があります。

3 では、最初の「ヌメーっとした動き」は何なのか?

ここは注意が必要です。
先ほどのモーグル選手の動きを見て
「ヌメーっと動いていた」
     ↓
「Muscle Slackがある」
      ↓
「だからしっくりこない」


実際の動作には
* 筋の収縮
* 腱の弾性
* 筋の長さ
* 関節の剛性
* 筋の共収縮
* 神経系の活動
* 重心位置
* 遠心性収縮から求心性収縮への切り替え
* 動作のタイミング

など、多くの要素が関係してるので単純に結びつけることはできませんが
【予備緊張】
【共収縮】

はキーワードになりそうです。

ですから、現場では「Muscle Slack」という言葉だけで動作を説明するのではなく、
「力がどのように立ち上がり、伝わっているのか?」
を考えるための一つの視点として捉えることが大切だと思います。

4 トレーナーとして大切なのは「何kg」だけではない

トレーニングでは
「スクワットで何kg挙がったか」
「デッドリフトで何kg挙がったか

という数字を見ることが多いと思います。
もちろん、最大筋力を高めることは重要です
ただ、競技動作では
必要な瞬間に、必要な方向へ、素早く力を伝えられるか?
という視点も重要になります。
特にスポーツ選手を指導するときには「どれだけ強いか?」 だけではなく「切り返しの瞬間に何が起きているのか?」 を見ることで、トレーニングの見え方が変わってくるかもしれません。
僕自身も今回のモーグル選手の動きを見たことで 「力を出す」 だけではなく 「力が立ち上がり、つながり、伝わる」 という視点を、改めて考えるきっかけになりました。
ここから先はオンラインサロンで
マッスルスラックとは?

今回の記事では、Muscle Slackの基本的な考え方について紹介しました。
オンラインサロンの本編では
* 実際の動作を見るときに何をチェックするのか
* 「ヌメーっとした動き」をどう評価するのか
* 予備緊張・共収縮との関係
* 「強い身体」と「使える身体」の違い
* トレーニングでどう考えるか
* 実際のエクササイズ例 など

現場での「見る視点」まで掘り下げて考えていきます。
トレーナーとして 「この選手は、どんな力の切り返しをしているんだろう?」 そんな視点で動作を見るきっかけになればと思います。

この記事を書いた人パーソナルトレーナー谷口嵩幸


経歴

  • 航空自衛隊を満期で退官。
  • スポーツ&メディカル専門学校でアスレティックトレーナーの資格を取得。
  • パーソナルトレーナーや運動教室にて指導。
  • 2019年5月:パーソナルジムB Conditioning設立。
  • スポーツ&メディカル専門学校 非常勤講師。
  • 2023年5月:ビーコンオンラインサロン開設。

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