筋膜リリースは本当に「筋膜をリリース」している?|知っておきたい基礎知識【無料版】
札幌パーソナルジムB Conditioning(ビーコンディショニング)の谷口です。
パーソナルトレーナーをしたり、パーソナルジムを経営したり、ビーコンオンラインサロンの運営などをしております。
今回は、筋膜リリースとは?を題材に情報を共有したいと思います。
「筋膜リリースをすると身体が柔らかくなる」
「筋膜の癒着を剥がす」
「硬くなった筋膜をほぐす」
フォームローラーやボールを使った筋膜リリースは、今ではスポーツ現場でも一般的になっています。
私自身も、コンディショニングの一つとしてフォームローラーなどをよく使っています。
では、実際には何を「リリース」しているのでしょうか? 本当に筋膜の癒着を物理的に剥がしているのでしょうか? 今回は、現在の研究をもとに、筋膜リリースについて基本的な部分を整理してみます。
ちなみに私はフォームローラーリリースを広めた
を参考にしています。
ポイントは
【深呼吸をしながら】
【痛すぎない圧で】
【ゆっくりと】
です
- そもそも「筋膜とは?」
- 「筋膜を剥がす」という説明は正しい?
- 実際に身体は柔らかくなるの?
- 筋膜リリースにはどんな効果がある?
- 何秒やればいい?
- 長くやればやるほど効果がある?
- 筋膜リリースを「ゴール」にしない
- 筋膜リリースをどう捉える?
- トレーナーとしての「筋膜リリース」
- まとめ
1 そもそも「筋膜」とは?

筋膜(fascia)は
単純に「筋肉を包んでいる膜」というだけではありません。
筋肉、腱、靭帯、神経、血管などの周囲に存在し、身体のさまざまな組織をつなぐ結合組織です。
また、筋膜にはさまざまな感覚受容器が存在することも分かっています。
つまり筋膜は、 身体を支える構造の一部 であると同時に、 身体の状態を感じ取る感覚にも関係する組織 として考えることができます。
2 「筋膜を剥がす」という説明は正しいのか?
筋膜リリースについては
「筋膜が癒着している」
↓
「フォームローラーで圧をかける」
↓
「癒着が剥がれる」
↓
「筋肉が動きやすくなる」
という説明をされることがあります。
しかし、現在の研究を見ると、これをそのまま事実として説明するのは難しいと考えられています。
フォームローラーによる圧力だけで、筋膜そのものを大きく変形させたり、癒着を物理的に剥がしたりしているわけではなそうです。 むしろ
【神経系への刺激】
【痛みに対する感覚の変化】
【伸張に対する耐性の変化】
【組織間の滑走】
【体性感覚への入力】
など、複数の要因が関係している可能性があります。
そのため「筋膜を剥がしている」 と考えるより 「刺激を入力することで、身体の感覚や動きに変化が起こっている」 と考えた方が、現在のエビデンスには合っていると言えます。
3 実際に身体は柔らかくなるの?
ここは非常に興味深いところです。
フォームローリングを行った直後に、関節可動域(ROM)が広がることがあります。
実際に、アスリートを対象とした研究でも、筋膜リリース系の介入によってROMが改善することが報告されています。
つまり 「筋膜リリースをしたら身体が動きやすくなった」 という現象自体は、研究でも確認されています。
ただし、ROMが広がった=筋膜が伸びた ということではありません。
なぜROMが改善したのかについては、一つの原因だけでは説明できないと考えられています。
ここが、筋膜リリースを考えるうえで非常に重要なポイントです。
4 筋膜リリースにはどんな効果がある?
現在の研究では、フォームローリングなどによって
① 筋肉痛・痛みの軽減
運動後の筋肉痛や痛みが、一時的に軽減する可能性があります。
② 関節可動域の改善
筋膜リリース後に、一時的にROMが改善することが報告されています。
③ 動きやすさの改善
痛みや伸張に対する感覚などが変化することで、「動きやすい」と感じられる可能性があります。
一方で、「筋膜リリースをすれば競技パフォーマンスが必ず向上する」 とまで考えるのは注意が必要です。
筋膜リリースそのものを目的にするのではなく 「その後の運動を行いやすくするための準備」 として考える方が、現場では使いやすいのではないでしょうか。
5 何秒やればいいのか?
ここもトレーナーの現場ではよく聞かれる質問です。
「30秒?」 「60秒?」 「90秒?」 「長くやった方がいい?」
研究では、筋肉痛の軽減や柔軟性の改善を目的として、一定時間フォームローリングを行っている研究があります。
その中で、90秒前後という時間が一つの目安として紹介されることがあります。
ただし 「筋膜リリースは必ず90秒やればいい」 という意味ではありません。 研究によって
【 対象となる筋群】
【圧力】
【 ローラーを動かす速度】
【実施時間】
【目的 】
などが異なるからです。 では、現場では90秒をどう考えればいいのでしょうか?
また 「長くやればやるほど効果が高くなる」 のでしょうか? ここから先は、研究結果をもう少し詳しく見ながら考える必要があります。
6 筋膜リリースを「やって終わり」にしない
私がトレーナーとして筋膜リリースを使うときに大切にしているのが
「リリースしたこと」ではなく「その結果、身体がどう変わったか」 を見ることです。
例えば
「足首が硬いからふくらはぎをローラーする」 だけではなく、 なぜ足首が硬いのか?
そして、ローラーをした後、本当に足首の動きは変わったのか? を確認する。
さらに、その変化した可動域を、実際の運動で使えるのか? まで考えていく必要があります。
リリース → 変化を確認 → 運動
につなげる という考え方です。
筋膜リリースそのものをゴールにしてしまうのではなく、その先にある「動作」まで考えることが重要だと私は考えています。
7 まとめ
筋膜リリースは、決して「意味のないもの」ではありません。
研究では、フォームローリングなどによって
【筋肉痛・痛みの軽減 】
【一時的なROM改善】
【動きやすさの改善】
などが期待されています。
一方で 「筋膜の癒着を物理的に剥がしている」 と一つのメカニズムだけで説明することには注意が必要です。
「90秒が絶対」
「長くやるほど効果が高い」
「筋膜リリースだけでパフォーマンスが上がる」
と単純に考えることもできません。
大切なのは、 「何秒やるか」より「何のためにやるのか」 ということです。
⸻
では、トレーナーは筋膜リリースをどう使えばいい?
ここからが、現場で筋膜リリースを使ううえで重要なところです。
【 90秒という時間をどう考えるのか?】
【 長時間行うことにメリットはあるのか?】
【リリース後に何をすればいいのか?】
「評価→介入→再評価」をどう現場で使うのか? 「 ROMが変化したあと、どのように運動につなげるのか? 」
こうした内容については、研究を紹介しながら、もう一歩踏み込んで解説しています。
「とりあえずローラーを転がす」から「目的を持って筋膜リリースを使う」へ。
トレーナーとして筋膜リリースをどのように捉え、現場でどう活用するのか。
続きはビーコンオンラインサロン会員限定記事で解説しています。
「筋膜リリースとは?本当に『筋膜をリリース』しているのか|エビデンスから考える効果・時間・使い方」
トレーナーとして、コンディショニングの引き出しを増やしたい方は、ぜひオンラインサロンで続きをご覧ください。
この記事を書いた人パーソナルトレーナー谷口嵩幸

経歴
- 航空自衛隊を満期で退官。
- スポーツ&メディカル専門学校でアスレティックトレーナーの資格を取得。
- パーソナルトレーナーや運動教室にて指導。
- 2019年5月:パーソナルジムB Conditioning設立。
- スポーツ&メディカル専門学校 非常勤講師。
- 2023年5月:ビーコンオンラインサロン開設。
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